九州鉄たび‼︎

九州×鉄道×温泉おもしろ珍道中

失われた鉄路

 

先日、あの「7月豪雨災害」で甚大な被害を受けた「呉市」に私すっぴーは足を運んだ。


広島は以前に縁のあった土地で、私が住んでいた街でも大きな被害が有ったとの報道を見た。どうしても行かなければ、という衝動に駆られた。


大変な惨状が今もなお続く街に、今はもう余所者の私が踏み入れて良いのか迷ったが、

「自粛ムード」とかいう変な遠慮で、観光産業が衰退してしまうのがどうしても許せなかった。


特に、我が九州は「観光」が大きな産業の一つである。私もその恩恵に与ってメシを食っている一人だ。

他所から観光に来てもらって、食べたり飲んだり泊まったりすることでお金を落としてもらい、街が潤う。

有名な「大和ミュージアム」も入場者が激減したそうである。

だから、せめて通常通り営業しているお店や施設に足を運んで、微力ながらも経済を回して復興に貢献したい。


私は列車に飛び乗った。

 

 


…残暑厳しい広島駅に降り立つと、そこは以前の日常と何ら変わりなかった。私がよく知っている広島の日常だ。


呉に行くにはどうすれば良いかと思い、在来線の改札口に行った。

 

呉線は、土砂崩れで通ることができないが、改札口には、代行バスを運行している旨の掲示があった。未だ甚大な被害で運転を見合わせている路線が多いようだ。


しかしながら代行バスも本数が限られており、鉄道の代行輸送は普段からその路線を利用する地元の方々が優先であろうと思い、定期便が出ている高速バスに乗ることに決めた。


バスセンターに着くと、鉄道の不通の為だろうか、多くの人で溢れていた。

呉方面は、定期便のほかにも臨時便が多く運転されているようだ。

このバスも満席になるのであれば、私が大切な一席を潰してまでも行くのは諦めようと思ったが、乗車率5割程度でバスセンターを出発できた。


バスは市街地を抜け、高速道路を順調に進む。しかし呉方面の高速道路も不通が続いており、すぐに下を走る国道に降りた。


片側一車線の国道は大渋滞だ。山手にはいくつもの土砂崩れが見える。

途中で、泥水に浸かったであろう、土だらけのひしゃげた車を何台も運ぶトラックとすれ違った。

私はこの光景を見て、ようやく大変なことが起こったんだと感じた。

 

途中で道が崩れているところは迂回路が作られており、バスは土埃が舞う道をゆっくりと進む。

バスセンターから一時間半をかけて、呉駅前に到着した。

 

駅前は閑散としている。

観光客の姿は殆ど無く、人通りは少ない。

お腹が空いたので、お好み焼きを頂こうと思い、商店街の方角へ足を進める。

とうに昼ご飯の時間は過ぎていたが、開いていた一軒のお店に入ってみた。

 

メニューを見て「呉焼き」なるご当地グルメが目に留まった。

 

f:id:Kyushu-Tetsutabi:20180821223336j:image

「れんが亭三丁目食堂」にて

 

二つ折りになったお好み焼きは、麺の表面が歯ごたえがあり、中身はフワッとしている。大変美味しく頂いた。

 

食堂を後にし、腹ごなしに付近を散策する。

歩いていくと、呉線を跨ぐ踏切が見えた。未だに列車の走らない線路は錆ついて、まるで時の流れが止まったようだ。

 

f:id:Kyushu-Tetsutabi:20180822225002j:image

 

…歩けば歩くほど、滝のように汗が噴き出る。ひたすら暑いからなのか、鳩も羽を広げて地べたでグタっとしている。

それにしても今年の暑さは尋常じゃない。

「異常気象」という言葉を毎年のように聞いているが、これが今後も続くと思うと本当にたまったものではない。予想もつかない自然災害がきっとたくさん起こるのだろう…

 

歩いていくうちに、海が見えてきた。

 

f:id:Kyushu-Tetsutabi:20180822214019j:image

 

中央桟橋の遊歩道。海沿いの道は、幾分か涼しい。

瀬戸内に浮かぶ島々を結ぶ船がひっきりなしに走っている。

 

桟橋のすぐ近くにある「大和ミュージアム」に入ってみた。

 

大和ミュージアム」は、戦艦「大和」のみならず、呉の歴史、造船の技術、そして戦争と平和について展示している歴史科学館である。

呉は明治時代より海軍の造船所が置かれ、日本一の造船技術を持っていた。

戦時中は多数の戦艦を製造していたことから、敵の標的となる街となり、空襲で多くの命が失われた。

 

戦争は、何の罪もない人の人生を狂わせた。

 

人間は生まれる場所、生まれる時代を選ぶことができないからこそ、

いまこの瞬間、食べたいものを食べて、健康で、仕事をして、豊かに暮らせることに感謝しなければ…

 

生きていると、ほんと、ちっちゃいことで争いが起こったりするけど、人間は唯一、相手を「許せる」生き物なんだから、寛大な心をもって生きていきたいのだ。

日常から「平和」に暮らすこと。そして、「よく考えて」自分の意見をもって、「人に優しく」生きていくこと。私すっぴーは出来た人間じゃないので、なかなか苦労している。

 

そのあと近くのスタバで休憩しながら、いろいろ考えていると、あっという間に夕方になってしまった。

 

夜は広島市内で旧友たちと会うから、そろそろ戻らねばということで、

中央桟橋でフェリーの切符を買う。

 

f:id:Kyushu-Tetsutabi:20180822225230j:image

 

ターミナルは、夏休みで帰省する人と通勤のサラリーマンで結構な混雑だ。本当に、鉄道の早期復旧が望まれる。

夕暮れの海を見ながら、また呉に行くことを誓いフェリーに乗り込んだ。